ばね計算Q&A
Q1. トーショントルク計算結果のコイル部の高さとは?
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当社の計算式では、このコイル部の高さとは、自由状態での高さではなく、最大巻込み時の高さを表しております。
つまり、2巻のトーションばねで線径がφ0.45の場合の自由状態では、コイル部の高さは「1.35mm」で、巻込み角度が180度の場合、0.45×(2+(180/360)+1)=1.575mmに成ります。
当方の説明不足の為に入力の際に良く勘違いされるケースで、巻数の入力時、「2.4巻」や「2.75巻」と入力され、その後「144度」や「270度」と巻角度を入力されるケースが有り、その場合には、自然状態(自由時)の巻数が、「2.8巻」や「3.5巻」と加算されてしまいます。
もしも、その様な勘違いをされている場合は、小数点以下の数値が無い(自然数 1や2や3・・・・)数値を入力頂き、そこから巻き込んでいる分を巻角度のフィールドに入力してください。
上記の例の場合には、巻数「2」巻、巻角度「144」度及び「270」度として入力をお願いします。
その他の例:線径φ1.0mm、巻数10巻、巻角度90度、巻込角度180度の場合、自由時(自然状態)でのコイル部高さは、11.25mmとなり、最大巻込み時のコイル部の高さは、11.75mmとなります。 Q2. 座屈危険性の定義を教えてください。%は何に対することでしょうか?
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日本規格協会の出版している「JISばねの規格」に、非常に複雑な計算式が発表されてます。
勿論、当社に図面の検討を依頼頂いた節は、その計算式で様々な診断をさせて頂いてますが、ホームページ上では、簡易的に座屈の危険性を「自由高さ÷中心コイル径」で「4」以上の場合に座屈の危険を呼びかけています。
逆に「0.8」未満の場合には、加工上で非常に困難が生ずる場合が有りますので、「過小」と判断させて頂いてます。
また、以上の数値は、すべてJISに準拠した値ですので、実際に加工が出来るかどうか?は、是非当社にお問合せ下さい。
それから、縦横比と座屈の関係は、圧縮ばねの支持状態でも全く異なります。
当社にお問合せ頂けた場合、上記の複雑な計算と共に、どこまで座屈しない高さにたわませられるのか?を診断しますので、お気軽にお連絡下さい。 Q3. トーションばね計算のたわみ角度について(第一たわみ角度と第二たわみ角度は何を指すのか?)
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お問い合わせの第一たわみ・第二たわみの件ですが下図を御参照願います。
図のような製品で申しますと、実線で書きました図が製品に何も負荷がかかっていない自由時の状態です。お客様の御使用状態で仮にAとBの位置までタワマせた時のモーメントないしは荷重が重要となると思いますが、このAまでの移動角度、Bまでの移動角度が「たわみ量」です。
モーメントが必要な値まで出ない・・・時は自由時の色々な方法が御座いますが、その一つとして自由時の巻角度を減らし(90度を減らす)たわみ量を増やす・・・と言うことになります。 Q4.引張りばね計算で、外形寸法指定でテンションを計算したいときに、どうして荷重指定が必要なのでしょうか?
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引きばねは御存知の通り初張力が有ります。(無荷重状態でも密着している巻部分の線材はお互いにくっつき合おうとする力)同じ形状の引きばねでも、この初張力をある範囲内で変化させる事で、荷重の強さを変更できます。
このことから、お客様が設計中の製品のサイズに対して必要な荷重を出す為に、初張力をどれ位にしたらいいのか?
先に申しましたとおり、初張力もある範囲内での調整ですので、無限に強くしたり弱くする事は出来ませんので 実際にばねを製作するに当たり、加工可能かどうかの判断を検証する為にも荷重の指定が必要になってまいります。 Q5. 引張りばね計算結果で、参考荷重値と現実荷重値とは、何を示しているのでしょうか?
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簡単に申しますと、初張力も適正値であり無理なく作成できる製品、そのような製品の荷重を参考荷重と御考え下さい。
現実荷重は必要な荷重を得る為に初張力を強く、または弱くして荷重を満足する値にした場合の荷重です。
要するに現実荷重は実際に必要な荷重値、お客様が計算される際、荷重指定項目に入力される荷重の値です。 Q6. 押しばねの第一荷重、第二荷重の精度は、どの程度のものですか?
また、それにセッチングの方法とのかかわりは?-
押しばねの場合、自由長から圧着高さまでの総たわみの間で、上下30%は定数が安定しないと言われております。つまり、その各30%の間で第一と第二荷重が設定されていますと精度が不安定になると考えます
また、材料の実線径も計算上の線径よりミクロン台で変移しますので、定数の振れが第一・第二荷重の精度にも影響いたします。
中心径や巻数の不安定さも同様に影響しますが、当社では逆に荷重に合わせて加工を行いますので、その際は、巻数や中心径に幾分かの公差を頂けると幸いです。
セッチングは、ばねに荷重を加えて、ある程度の永久変形を生じさせ、ばねの弾性限を高める操作を言います。 これにより、荷重を安定させる効果はあると思います。
以上の一般的な回答に成りましたが、ばねの係数(中心径÷線径)の値や、縦横率(自由長÷中心径)の値で、全てが変わって来ますので予めご理解頂けると幸いです。 Q7. 弊社にて検討しておりますばねを計算したところ、許容静荷重『へたり問題無し』、推定寿命回数『5万回迄期待出来る』との結果となりました。この場合、耐久を重ねても初期荷重からの荷重変化は起こらないと考えてよいものなのでしょうか?また、荷重が増減する場合、何%程度の変化が予想されますでしょうか?
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許容静荷重と推定寿命回数は、基本的な考え方がございます。
生涯2,000回以下の繰り返しの場合は、静荷重。以上の場合は動荷重(寿命回数)を重視してください。
一般的には、静荷重は、ばねのへたりを確認し、動荷重は、ばねの折損を確認します。
今回のお問合せは、耐久を重ねても荷重変化は起きないのか?ですが、計算上(理論上)では、変化はないと考えます。
特にトーションばねは、巻き込む方向への撓みは、応力修正を必要としないために有利に働きます。 あくまでも計算上の定義であり、そのばねの材質・加工方法・低温焼鈍処理などで条件が悪くなることが多くありますので、生産される場合は確かな「ばねメーカー」にご依頼されることを推奨致します。
当社は、ISO9001を取得して、品質に対して万全を提供しており、ご信頼を頂けるものと確信しております。
どうぞご利用下さい。 Q8. 引きばねの荷重計算結果において、初張力適正評価が加工困難という結果が表示されました。これは現実荷重が表示されていても、作れないばねであるということなのでしょうか?
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引きばねを加工する場合計算上の初張力と実際に加工可能な初張力範囲が大抵異なります。
理想は、計算通り(100%)ですが、調整出来て20%〜200%と言われています。
しかし、300%程のハイテンションであれば、物によっては加工も可能ですので、その場合は御連絡願います。当方で検証をさせて頂きます。
あくまでも一般的な初張力比率の範囲で計算し、その結果をクールに明示しているのです。
是非、ご相談頂ければ、当社でも設計のお手伝いさせて頂きます。